硫化物固体電解質をはじめとする全固体電池材料では、結晶構造だけでなく、非晶質構造や局所的な構造ゆらぎ、結晶化・反応過程が材料特性を大きく左右します。SPring-8の高エネルギーX線全散乱/PDF解析を中心に、高速in situ測定、異常散乱、計算科学、機械学習を組み合わせ、電池材料の構造と機能の関係を明らかにする研究を進めています。
2026年度より東北大学金属材料研究所(大阪公立大学内東北大学サテライトオフィス:林晃敏研究室)にて、全固体電池・固体電解質を中心とした無機材料の構造研究を進めています。特に硫化物固体電解質の非晶質構造、結晶化、イオン伝導と局所構造の関係に注目しています。これまでSPring-8で開発してきた高エネルギーX線全散乱/PDF解析、高速時間分解・ハイスループット測定、異常散乱に、機械学習や計算科学を組み合わせ、従来の回折法では捉えにくい非晶質・準安定相・反応中間状態の構造を解析しています。
SPring-8の高エネルギーX線を利用し、X線全散乱・PDF測定の高速化、自動化、時間分解能の向上に取り組んでいます。従来数時間を要した測定を数分程度まで短縮するハイスループット測定に加え、秒以下で進行する構造変化を追跡する高速PDF測定へ展開しています。現在はこれらの計測技術を、固体電解質をはじめとする全固体電池材料の反応・結晶化・構造変化の解析に応用しています。 (H. Yamada et al., J. Synchrotron Rad. 33, 516 (2026), H. Yamada et al., J. Synchrotron Rad. 29, 549 (2022))
ガラスや固体電解質など、長距離秩序を持たない材料の局所構造と物性の関係を研究しています。特に硫化物固体電解質を中心に、非晶質構造、結晶化、準安定相とイオン伝導との関係に注目しています。PDF解析に加え、逆モンテカルロ法、計算科学、機械学習ポテンシャルなどを組み合わせることで、実験だけでは決定が難しい三次元的な原子構造の理解を目指しています。 (H. Yamada et al., Energy Environ. Mater. 7, e12612 (2024); recent works 2026–)
材料が最終的な結晶構造を形成する前に、どのような局所構造や中間状態を経由するのかを明らかにする研究を進めています。これまでゼオライトの非晶質前駆体からの結晶化を、PDF解析、異常散乱、in situ測定によって追跡してきました。現在はこのアプローチを固体電解質や電池材料へ展開し、結晶化前の非晶質構造や高速反応過程の理解を目指しています。 (H. Yamada et al., J. Phys. Chem. C 123, 28419 (2019), H. Yamada et al., J. Phys. Chem. Lett. 14, 3574 (2023); recent works 2026–)
NRID掲載の研究課題